シートを用いたPCa部材の墨出し方法【Patent5361183】

特許5361183

特許5361183


(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
 コンクリート中への埋設物の設置位置を墨出しするための墨出し方法であって、印刷お
よび切抜きが可能なシートに埋設物の設置位置を、製作図面の情報を基に実寸で切り抜く
工程と、前記シートをコンクリート打設面にセットして前記シートの切抜き部分をテンプ
レートとして墨出しを行なう工程とを有し、前記コンクリート打設面を、前記シートの幅
および長さ以内の幅および長さの複数の区画に分け、前記複数の区画の全てまたは一部の
区画における埋設物の設置位置を、1枚のシートに重ね合わせた形で切り抜くとともに、
前記切抜き部分の近傍には、前記埋設物の種類または用途、および使用する区画に応じた
識別のための印刷を色分けして行ない、1枚のシートを、順次、複数の区画で使用するこ
とを特徴とする墨出し方法。
【請求項2】
 前記埋設物の種類または用途の識別のための印刷を記号化して行うとともに、該埋設物
を使用する区画に対応する数字を記入することを特徴とする請求項1の墨出し方法。
【請求項3】
 前記シートの切抜きを印刷用のペンプロッターに装着されるカッター刃により行なうこ
とを特徴とする請求項1または2記載の墨出し方法。
【請求項4】
 前記埋設物が各種工事用のインサート金具、または空隙形成用のスリーブであることを
特徴とする請求項1、2または3記載の墨出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
 本発明は、コンクリートの打設の際、コンクリート中への埋設物の設置位置を墨出しす
るための墨出し方法に関するものである。主として、建物の床スラブ、橋梁の桁材等とし
て用いられるプレキャストコンクリート部材(以下、「PCa部材」という。)を製造す
る際の型枠、あるいは定盤への墨出しに利用されるが、現場打ちコンクリートへの利用な
ども可能である。
【背景技術】
【0002】
 床スラブ用のPCa部材を例にとると、PCa部材には製造時に各種工事用のインサー
ト金具や空隙形成用のスリーブ、内型枠等が埋め込まれる。その場合、これらの埋設物の
位置を成形用の型枠に墨出しすることが行なわれる。
【0003】
 従来の方法としては、製作図面に基づいて、手作業でけがきしたり、ペイントマーカー
等で墨出しを行うのが一般的である。その場合、まず、基準線を墨打ちし、製作図面に記
載されている寸法を直尺、曲尺を使用して一箇所ずつ墨出しして行く。この作業を製作す
る部材が変わるたびに行なうことになる。
【0004】
 また、PCa部材製造用の大掛かりな設備としては、製図用のXYプロッターの機能を
有し、型枠を形成する定盤上を走行するようにした墨出し用のマーキング装置がある(例
えば、特許文献1参照)。
【0005】
 この他、本発明とは直接関連しないが、墨出し方法に関する技術として、特許文献2、
3に記載されたものがある。
【0006】
 特許文献2には、下階から上階へ地墨ポイントを移して上階に地墨基準線を引く際に用
いられる墨出し治具として、墨出し位置に孔部が穿設された床型枠堰板の孔部の周囲に下
端部が固着された支柱と、この支柱の上端部に、現場打ちコンクリートの上面よりも上方
に位置するようにして孔部を跨いで配設された透明板とを備えた墨出し治具が記載されて
いる。
【0007】
 特許文献3には、建物の施工における基準レベルを墨出しする方法として、型枠工事に
際して鉄筋に対して磁石を取り付けてその磁石の中心位置を基準レベルに合致させておき
、コンクリート打設に際しては磁石をそのままコンクリート中に埋設し、仕上げ工事に際
してはコンクリート表面から磁石の中心位置を検出してその検出位置を基準レベルとして
コンクリート表面にマーキングするようにした墨出し方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平10−166704号公報
【特許文献2】特開平09−145372号公報
【特許文献3】特開2005−098750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
 従来の一般的な墨出し方法は、手作業であるため、寸法の読み違いや、墨打ち、けがき
などの精度により、単純な間違いや精度上の問題が発生しやすい。
【0010】
 特に、1つの製品に埋め込まれる金具類の数量が多い場合、この墨出し作業に時間と労
力がかかり過ぎ、生産の効率化に影響を及ぼす。また、同一型枠で同一の製品を製作して
行く場合は、以前けがいた印を利用できるが、同一型枠で複数種の製品を製作する場合に
はけがいた部分が重なり合い、判別が困難になり、取付け位置間違いなどのミスが発生す
る恐れがある。
【0011】
 また、定盤上を走行する大掛かりなマーキング装置の場合、設備コストがかかり、注文
生産で多種類のコンクリート製品を製作するような場合には適さない。また、現場打ちコ
ンクリートの施工には利用できない。
【0012】
 本発明は、室内にも設置できる一般的なペンプロッター等があれば、現場において特別
の設備を必要とすることなく、正確な墨出し作業を簡単に安価に行なうことができる墨出
し方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
 本願の請求項1に係る発明は、コンクリート中への埋設物の設置位置を墨出しするため
の墨出し方法であって、印刷および切抜きが可能なシートに埋設物の設置位置を、製作図
面の情報を基に実寸で切り抜く工程と、前記シートをコンクリート打設面にセットして前
記シートの切抜き部分をテンプレートとして墨出しを行なう工程とを有することを特徴と
するものである。
【0014】
 本発明は、前述のように、主として、建物の床スラブ、橋梁の桁材等として用いられる
PCa部材の製造に利用されるが、必ずしもPCa部材の製造に限定されず、現場打ちコ
ンクリートの墨出しにも適用可能である。
【0015】
 シートとしては、コンクリート打設面にセットする際、打設面がある程度透視でき、簡
単に千切れたりしない耐久性を備え、かつ印刷が明瞭に見える半透明のフィルム状のシー
トが望ましい。
【0016】
 そのようなものとしては、ペンプロッター(XYプロッター)用の合成紙等がある。ロ
ール状に巻いたものとしては、例えば幅920mm×長さ50m等、種々の寸法のものが
市販されている。
【0017】
 ただし、印刷が可能で切抜きが容易で、必要な耐久性を備え、伸縮の少ないものであれ
ば、特に限定されず、不透明のシート、透明なシートでもよい。
【0018】
 墨出し位置は、製作図面の情報をペンプロッター等に入力することで、シートに実寸で
描くことができる。また、ペンプロッターの場合、切れ目を入れたり、あるいは切抜くた
めのカッター刃を印刷用のペンと同様に取り付けられるようにしたものがあり、印刷と同
時に切抜きを行なうこともできる。
【0019】
 印刷または切抜き(切れ目だけを付け、後から除去する場合や、印刷のみ行い、別途、
後から切り抜く場合も含む。以下、同様。)等を行なったシートは、工場または現場のコ
ンクリート打設面にセットすることで、テンプレートとして利用することができ、切抜き
部分に墨出しを行う。なお、ここで言う墨出しは、ペイントマーカーなどを利用した墨出
しに限定されず、けがきなども含めた意味での墨出しである。
【0020】
 以上により、実寸の墨出しを極めて簡単に行うことができ、かつ製作図面の情報をその
まま利用するので、作業員の錯誤や計測ミスの問題もない。
【0021】
 請求項1に係る墨出し方法においては、さらに前記コンクリート打設面を、前記シート
の幅および長さ以内の幅および長さの複数の区画に分け、前記複数の区画の全てまたは一
部の区画における埋設物の設置位置を、1枚のシートに重ね合わせた形で切り抜き、1枚
のシートを、順次、複数の区画で使用することを特徴とする。
【0022】
 印刷、切抜き等を製図用のペンプロッター等で行なう場合、長さ方向については印刷さ
れるシートの送り出しにより、かなりの長尺の印刷、切抜き等が可能であるが、幅方向に
ついてはプロッターの幅や用紙の幅の制約を受けるため、1m程度以内が通常である。
【0023】
 一方、例えば床スラブ用のPCa部材の場合、幅が数mとなる場合が多いため、1つの
PCa部材の面積全部をカバーするシートの印刷、切抜き等を行なうことは難しい。もっ
とも、床スラブ用のPCa部材の場合、コンクリートの打設自体、複数の区画に分けて行
なうのが通常である。
【0024】
 そこで、本発明では、コンクリート打設面を、シートの幅および長さ以内の幅および長
さの複数の区画に分けることとし、さらにその複数の区画の全てまたは一部の区画におけ
る埋設物の設置位置を、1枚のシートに重ね合わせた形で切り抜いておき、1枚のシート
を、順次、複数の区画で使用するようにして、シートの節約を図っている。
【0025】
 この場合、シートの節約になるばかりでなく、シートの枚数が数分の1となることで管
理が容易となり、コンクリートの打設に合わせ、順次、横へずらして行けばよいので、取
扱いにおける煩雑さもないという利点がある。
【0026】
 なお、各区画の寸法は、必ずしも一律である必要はない。
【0027】
 さらに、請求項1に係る墨出し方法においては、前記切抜き部分の近傍に、前記埋設物
の種類または用途、および使用する区画に応じた識別のための印刷を色分けして行なうこ
とを特徴とする。
【0028】
 本発明のように、複数の区画の全てまたは一部の区画における埋設物の設置位置を、1
枚のシートに重ね合わせた形で切り抜く場合、どの切抜きがどの区画のものであるか識別
できるようにしておく必要がある。
【0029】
 本発明では製作図面の情報をそのまま利用するので、ペンプロッター等のデータとして
変換する際に、区画に対応する数字を記入したり、埋設物の種類や用途等を記号化したり
色分けして印刷することで、作業性を向上させることができる。
【0030】
 請求項2は、請求項1に係る墨出し方法において、前記埋設物の種類または用途の識別
のための印刷を記号化して行うとともに、該埋設物を使用する区画に対応する数字を記入
することを特徴とするものである。
 請求項3は、請求項1または2に係る墨出し方法において、前記シートの切抜きを印刷
用のペンプロッターに装着されるカッター刃により行なうことを特徴とするものである。
【0031】
 市販のペンプロッターでは、異なる色の複数のペンの他、オプション製品としてペンを
カッター刃に置き換えて装着できるようにしたものがあるので、そのようなペンプロッタ
ーを利用することで、複数色の印刷と切抜きを同時に行なうことができ、効率的である。
【0032】
 請求項4は、請求項1、2または3に係る墨出し方法において、前記埋設物が各種工事
用のインサート金具、または空隙形成用のスリーブであることを特徴とするものである。
【0033】
 例えば、床スラブ用のPCa部材に用いるインサート金具については、部材自体の取り
付けや接続に利用する建築用のインサート金具の他、設備用、電気用のインサート金具等
があらかじめ埋設される。
5361183-図1,2

5361183-図1,2


5361183-図3

5361183-図3

技術の一覧